うちの豆柴には、ちょっと不思議なクセがある。何かを「隠したい」と思ったとき、鼻先でフンフンと見えない土をかけるような仕草をするのだ。フローリングの上で。何も隠れていないのに、本人はやりきった顔をしている。この記事では、柴犬飼いなら「あー、うちもやる!」と膝を打つであろう、鼻で隠す仕草の正体と、うちの豆柴の愛しすぎるエピソードをお届けします。
トイレシートの上で始まる「隠蔽工作」
うちの豆柴がこの仕草を一番よくやるのが、トイレシートの上でおしっこをした直後だ。
用を足し終えると、おもむろに鼻先をシートに押しつけて、フンッ、フンッと何かを被せるような動きを始める。まるで「証拠隠滅しなきゃ」とでも言わんばかりの真剣な顔つき。
でも、冷静に見てほしい。トイレシートの上である。被せるものは何もない。鼻で押しているのはツルツルのシートだけ。おしっこはそのまま堂々と存在している。
隠れてない。まったく隠れてない。
でも本人は「よし、完璧」みたいな顔で立ち去るから、もう何も言えない。
おやつにも発動する「今じゃない」の鼻
もうひとつ、うちの豆柴がこの仕草を見せるのが、おやつをあげたときだ。
ただし、毎回ではない。「今は食べる気分じゃない」というときだけ発動する。
差し出したおやつをクンクン嗅いで、一瞬考えて、そのあと鼻先でチョイチョイと押し始める。フローリングの上を、おやつが少しずつ滑っていく。そして最後に、鼻でフンッとひと押し。
隠せてない。おやつは目の前に丸見えだ。
でも彼にとっては「あとで食べるから、ここに埋めておいた」という認識らしい。10分後にひょっこり戻ってきて、何事もなかったように食べる。その一連の流れが、もう愛おしすぎる。
ちなみに、うちの豆柴は気分によってごはんへの反応もまったく変わる。その話は「柴犬の食い渋り攻略法」にも書いた。
その仕草、実は野生の本能だった
この「鼻で隠す」仕草、実はオオカミの時代から受け継がれたキャッシング(貯食行動)という本能に由来するらしい。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| キャッシング(caching) | 食べ物を土に埋めて保存する野生の行動 |
| 貯食行動 | 食料が豊富なときに余りを隠し、不足時に掘り返す戦略 |
野生のオオカミや野犬は、獲物を一度に食べきれないとき、土を掘って余った食料を埋め、鼻で土をかけて隠していた。この「鼻で土をかける」動作が、室内で暮らす現代の柴犬にも残っているというわけだ。
つまり、うちの豆柴がフローリングの上で鼻をフンフンしているあの動き、本人の中では「ちゃんと土をかけて隠した」ことになっている。実際には何も隠れていないけれど、本能がそうさせているのだから仕方ない。
トイレを隠すのは「きれい好き」の表れ?
おやつを隠すのはキャッシングで説明がつく。じゃあ、トイレシートのおしっこを隠そうとするのはなぜか。
これには諸説あるけれど、犬が自分の排泄物を隠す行動は痕跡を消す本能と関係があると言われている。野生環境では、自分のにおいを残すと外敵に居場所を知られるリスクがあった。だから排泄後に土をかけて痕跡を消す個体がいたのだ。
うちの豆柴がトイレ後に鼻でシートを押しているのは、もしかしたら「ここに自分がいた証拠を消さなきゃ」という太古の本能なのかもしれない。
リビングにいるのバレてるけどね。
柴犬飼いの「あるある」を集めてみた
SNSや柴犬コミュニティを見ていると、この仕草をする子は意外と多いみたいだ。
| シチュエーション | 飼い主の反応 |
|---|---|
| おやつを鼻で押してソファの隙間に「埋める」 | 「あとでソファの下からカピカピのおやつが出てくる」 |
| 布団の上で鼻フンフンして毛布をかける | 「自分で隠して自分で掘り返してる」 |
| トイレ後にシートをぐちゃぐちゃにする | 「隠す気持ちはわかるけどシートが破れる」 |
| ガムを部屋の隅に鼻で押していく | 「3日後にほこりまみれのガムが発見される」 |
どの家庭も「隠せてないのに本人は満足げ」という点で共通しているのが最高に面白い。柴犬って本当に自分のルールで生きている。そのあたりの話は「うちの柴犬の「マイルール」が厳しすぎる件」でも書いたので、あわせてどうぞ。
「隠したつもり」を見守る幸せ
この仕草を初めて見たとき、「何してるんだろう?」と不思議だった。でも、それが野生の本能だと知ってからは、見るたびにちょっと感動するようになった。
何万年も前のオオカミの記憶が、うちのリビングで再生されている。フローリングの上で、土なんてどこにもないのに、一生懸命鼻でフンフンしている姿。その真剣な横顔を見ていると、「きみの中にはまだオオカミがいるんだね」と、なんだかグッとくる。
そして隠したつもりのおやつを10分後に食べに戻ってくる姿を見て、現実に戻される。
それもまた、柴犬と暮らす日常の、たまらなく愛おしい一コマだ。
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