豆柴はなぜ小さい?犬の体サイズを決めるDNA研究が面白い

体重計の上にちょこんと座っている白い豆柴

うちの豆柴は5kgぴったりで成長が止まった。子犬の頃は「この子、どこまで大きくなるんだろう」と毎月体重計に乗せてはドキドキしていたけど、いつの間にかぴたっと止まって、そこから動かない。

先にポイントだけ。豆柴が小さい理由には「IGF1」という遺伝子が深く関わっている。ただし豆柴はJKC公認の犬種ではなく、遺伝的にサイズが固定されていないため、普通の柴犬くらいまで育つ子もいる。小さいのも大きくなるのも、どっちもDNA次第という話だ。

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犬の体サイズを決める「IGF1遺伝子」とは

2007年、アメリカの研究チームが科学誌『Science』にちょっと面白い論文を発表した。世界中の犬種のDNAを調べたところ、小型犬に共通する遺伝子変異が見つかったのだ。その名も「IGF1(インスリン様成長因子1)」。

ざっくり言うと、IGF1はもともと体の成長を促すはたらきを持つ遺伝子なんだけど、その特定の変異タイプを持っている犬は成長にブレーキがかかりやすく、体が大きくなりにくい。チワワもトイプードルもポメラニアンも、小型犬はほぼ例外なくこの変異タイプを持っていた。

じゃあ柴犬はどうかというと、中型犬の中でも比較的小さい部類で、標準体重はオスで10kg前後、メスで8kg前後。もともとIGF1の影響を受けやすい素地があって、その中でも「小さく育つ遺伝子の組み合わせ」を強く引いた子が豆柴サイズになる——というのが、今のところいちばん説得力のある説明だ。

つまり豆柴の小ささは、偶然でも栄養不足でもなく、DNAレベルでちゃんと説明がつく。「小さい柴犬」じゃなくて「小さくなる遺伝子を持った柴犬」と言ったほうが正確かもしれない。

豆柴として迎えたのに大きくなる子がいる理由

「豆柴として買ったのに8kgになった」「うちの子、豆柴のはずなのに普通の柴犬と変わらない」——SNSでよく見かける話だ。

これにもDNAが関係している。犬の体サイズを決める遺伝子はIGF1だけじゃない。その後の研究で、体の大きさに関わる遺伝子が複数見つかっている。

要因 影響度 説明
IGF1遺伝子 小型化に最も影響する主要遺伝子
その他の体サイズ関連遺伝子 中〜大 骨格・筋肉量・成長速度に関与
両親のサイズ いちばん身近な予測材料。ただし確実ではない
栄養・生育環境 遺伝の範囲内での変動要因

ここが大事なんだけど、豆柴はJKC(ジャパンケネルクラブ)の公認犬種ではない。小さな柴犬同士を選んで繁殖させた結果生まれた「サイズバリエーション」であって、遺伝的に体サイズが固定された犬種ではないのだ。

だから、たとえ両親が小さくても、祖父母世代の「普通サイズの遺伝子」がひょっこり出てくることがある。遺伝子はトランプみたいなもので、どのカードが配られるかは生まれてみないとわからない。

「豆柴詐欺」なんて言葉もあるけど、ブリーダーが嘘をついているというより、遺伝の仕組み上「確実に小さいまま」とは言い切れないのが実情だと思う。サイズの保証が難しいのは、豆柴に限った話じゃなく、犬の繁殖全般に言えることだ。

ちなみに、豆柴の体重目安は成犬で4〜6kg程度と言われることが多い。ただしこれも公式な基準があるわけではなく、ブリーダーや団体によってまちまちだ。

5kgの豆柴と暮らして思うこと

うちの豆柴が5kgで止まったとき、「あ、この子は豆柴サイズだったんだな」と思った。別に大きくなっていても愛情は変わらない。ただ、ネットで「豆柴のはずが普通サイズに」という話をたくさん見ていたから、「なんで小さいままの子と大きくなる子がいるんだろう」とはずっと気になっていた。

IGF1の話を知ってからは、その疑問がすっきりした。5kgなのはこの子が持って生まれた遺伝子の組み合わせがそうだっただけ。仮に8kgになっていたとしても、それもまたDNAが決めたことで、何かが間違っていたわけじゃない。抱っこしたときの重さが違うだけで、この子はこの子だ。

ちなみに、以前柴犬がオオカミの親戚だという話を調べたときも思ったけど、DNAの世界はスケールが壮大すぎて、目の前の5kgの小さい生き物とうまく結びつかない。オオカミに最も近い犬種の遺伝子を持ちながら、散歩中にマンホールの蓋で固まる拒否柴。遺伝子と性格は別の話らしい。

まとめ

  • 豆柴が小さい理由は、IGF1をはじめとする複数の遺伝子の組み合わせ
  • 豆柴はJKC公認犬種ではなく、遺伝的にサイズが固定されていない
  • 両親が小さくても、祖父母世代の遺伝子で普通サイズに育つことがある
  • 小さいのも大きくなるのも、DNAが決めたこと

どんなサイズに育っても、その子が持って生まれたDNAの結果。もし「豆柴のはずなのに大きくなっちゃった」と悩んでいる人がいたら——その子の価値は体重計の数字じゃ測れない。

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この記事を書いた人

3歳の柴犬オーナー歴。愛犬を溺愛中。柴犬との暮らしで感じるリアルな「あるある」と、飼い主目線で調べた役立つ情報を発信します。モットーは「柴犬のことは柴犬オーナーが一番わかる」。

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