友人が2匹目の柴犬を迎えた日、先住犬が石像になった話

リビングで並んでくつろぐ赤柴と黒柴

「2匹いたら、もっと楽しいんじゃないか」。柴犬を飼っている人なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。私の友人がまさにそのパターンでした。友人の家の赤柴が3歳になった春、散歩中にすれ違う柴犬を見てちょっとだけ尻尾を振る姿を見て、「この子、本当はさみしいのかも」と思い始めたそうです。飼い主というのは都合よく解釈する生きものですよね。

そして迎えた運命の日。友人が黒柴の子犬をキャリーに入れて玄関を開けた瞬間、先住の赤柴が文字どおり石像になったそうです。まばたきすら止まったんじゃないかというレベルのフリーズ。その話を聞いたとき、うちの豆柴も散歩で他の犬をチラチラ気にしているので、なんだか想像がつきました。

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2匹目を迎える前に、先住犬をよく観察した

話を少し巻き戻します。友人は「2匹目がほしい」と思ってすぐに行動したわけではなかったそうです。先住の赤柴は典型的な柴距離を大切にするタイプ。心を許した相手には甘えるけど、知らない犬には基本的にノーリアクション。まずはこの子が本当に同居犬を受け入れられるのか、じっくり観察したと言っていました。

多頭飼いの相性を見極めるために、友人がチェックしたのはこの3つです。

チェック項目 先住犬の場合
先住犬の社会性 散歩中、他の犬とすれ違っても吠えない。ドッグランでは距離を保ちつつ気にしている
性別の組み合わせ 先住犬はオスなので、メスの子を探した。オス×メスが衝突しにくいとされている
年齢差 3歳のときに子犬を迎えた。2〜3歳差が理想的と聞いていた

「犬好きな犬」とは言えないけど、他の犬に攻撃的でもない。「まあ、いけるかな」と判断したそうです。正直、半分は賭けだったとのこと。柴犬の基本的な性格については「柴犬を飼う前に知っておきたいこと」にまとめていますが、マイペースで自分のルールを大切にするこの犬種、同居犬を受け入れるかどうかは個体差が大きいんですよね。

準備は「2つずつ」が鉄則だった

2匹目を迎えると決めてから、友人は家の中を改造する日々を過ごしたそうです。柴犬は自分だけのスペースがないとストレスをためるので、「すべてを2つずつ」がキーワードとのこと。

準備したもの なぜ必要か
クレート2つ それぞれの「自分だけの城」。リビングの対角線上に配置
フードボウル2つ 食事の取り合いはケンカの火種になる
仕切りゲート 顔合わせ期間中に物理的に分離するため
トイレスペース2箇所 柴犬はトイレの場所にこだわりが強い

特に気を配ったのがパーソナルスペースの確保だそうです。先住犬のクレートがある場所から新入りのスペースが見えない角度にレイアウトした。柴距離を保てる逃げ場がないと、先住犬のストレスが一気に高まります。

あと、地味に見落としがちなのが掃除問題。柴犬はダブルコートなので、2匹になると換毛期の抜け毛が冗談抜きで2倍になります。友人いわく「コロコロの消費量が異次元」。うちは1匹でもリビングが毛だらけなので、2匹なんて想像しただけで震えます。「換毛期を乗り切るコツ」も参考にしてみてください。

顔合わせ3ステップ——焦った飼い主が負ける

さて、冒頭の先住犬石像化事件に話を戻しましょう。実はあの日、友人はいきなり対面させたわけではなかったそうです。ちゃんと段階を踏んだつもりだった。つもりだったんですが。

ステップ1:匂い交換で「予告」する(初日〜3日目)

新入りの子犬を迎える前、友人はブリーダーさんにお願いして子犬が使っていたタオルをもらいました。それを先住犬の近くにさりげなく置いてみたそうです。

先住犬の反応——タオルにじわじわ近づき、3秒ほど匂いを嗅いで、スッと離れる。そして飼い主を振り返り、「これ、なに?」という目。この匂いの名刺交換を3日間続けたところ、最終日にはタオルの横で普通に寝ていたので、「よし、次のステップだ」と判断したそうです。

ステップ2:中立地帯での初対面(4日目)

自宅は先住犬の縄張りなので、最初の対面は近所の公園を選んだとのこと。リードをつけた状態で、まずは10メートルくらいの距離から。

新入りの黒柴は子犬特有の無邪気さで尻尾をブンブン振っている。先住犬は——そう、ここで石像化です。ピクリとも動かない。30秒ほどフリーズしたあと、ゆっくり視線を逸らして「知らんけど」という顔をしたそうです。攻撃性はゼロ。ただ、圧倒的な「無」。

これ、実は悪くないリアクションなんです。吠えたり唸ったりするより、無関心を装うほうがずっと安全。そこから毎日10分ほど公園で一緒に過ごす練習を重ねたと聞きました。

ステップ3:自宅で短時間の同居開始(1週間目〜)

公園での距離が3メートルくらいまで縮まった頃、いよいよ自宅でゲート越しの同居を始めたそうです。最初は10〜15分。新入りの子犬がゲート越しに先住犬を見つめ、先住犬が目を逸らす。その繰り返し。

3日目の夜、ちょっとした事件が起きました。新入りの子犬がゲートの隙間から前足をにゅっと出して、先住犬の方に伸ばした。先住犬、一瞬ビクッとしたあと——匂いを嗅いだそうです。たった2秒。でも友人は、あの2秒で「この子、受け入れてくれるかも」と思えたと話していました。

もしこの期間中に先住犬が完全にフリーズして動かなくなったり、食欲が落ちたりしたら、それは強いストレスや緊張のサインです。無理に距離を縮めず、ステップを一つ戻してペースを落としてあげてください。

距離が縮まる瞬間は、突然やってくる

同居を始めて2週間が過ぎた頃、友人が仕事から帰ると玄関で2匹が並んで待っていたそうです。先住犬のお迎え柴は見慣れた光景だったけど、その横にちょこんと座る新入りの黒柴。しかも2匹とも飛行機耳。「おかえり」の耳が2つ並んでいる破壊力、想像できますか。

あの日から、2匹の柴距離が目に見えて縮まったとのこと。同じ部屋でへそ天で寝る日もあれば、片方がもう片方のクレートの前でそっと座っている日もある。べったりではないけど、確実にお互いを意識している。柴犬らしい、絶妙な距離感です。

友人が多頭飼いの日常で心がけていることをまとめておきます。

ルール 友人の家のやり方
食事は別々の場所で 同時に出すけど、2メートル以上離す
先住犬を優先 ごはん・おやつ・散歩、すべて先住犬が先
1匹ずつの時間を確保 週末は交代で1匹だけ連れ出す散歩タイムを作る

先住犬を優先するルール、これは本当に大事です。新しい子に注目が集まりがちですが、先住犬が「自分の居場所が奪われた」と感じると体調にも影響します。友人も先住犬がふいに膝に顎を乗せてきたら、何を差し置いてもなでると言っていました。うちの豆柴も甘えてきたときは全力で応えるようにしています。

まとめ——2匹の柴犬がいる暮らしは、覚悟と準備でできている

2匹目の柴犬を迎えることは、楽しさも手間も倍になるということです。換毛期の抜け毛は倍、ごはん代は倍、病院代も倍。でも友人いわく、2匹が並んで歩く散歩道の幸福感は、倍どころじゃないそうです。

多頭飼いを考えている方は、まず先住犬の社会性をよく観察すること。準備は「2つずつ」を徹底すること。顔合わせは匂い交換→屋外対面→短時間同居の3ステップを焦らず進めること。どうしても不安が大きい場合は、かかりつけの獣医師やドッグトレーナーに相談してみてください。

もしあなたの先住犬が、新入りを前にして石像化したとしても——友人の家もそうでした。そこからちゃんと、2匹の物語は始まります。柴犬オーナーならではの「あるある」は「柴犬オーナーあるある」でも紹介しているので、ぜひ覗いてみてくださいね。

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この記事を書いた人

3歳の柴犬オーナー歴。愛犬を溺愛中。柴犬との暮らしで感じるリアルな「あるある」と、飼い主目線で調べた役立つ情報を発信します。モットーは「柴犬のことは柴犬オーナーが一番わかる」。

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